コートロティのシラー
 コートロティで育った純血種のシラーのぶどうのアロマは、有名著書ではこう述べられている。

 “強烈に香りの華やかなワイン。カシスやブラックベリー、燻煙、ベーコンの脂身、スミレ、オリーブ、グリルした肉を思わせる香りや味わいがずらりと並んでいる。世界で最上の赤ワインの筆頭に入る(R.パーカー/ローヌワイン)”・・・とある。

しかし!この書をひも解きながら、わたしは愕然とした。

 コートロティの筆者・パーカー大先生による格付けのAクラスには、ギガルやシャプティなどの大資本化しつつある有名蔵のオンパレード。


地下6mにあるシェの天井。

ここのセラーの天井にはカビがびっしり生えていて、
その歴史を物語っています。すごいでしょ。

 そしてかろうじて、末尾の生産者名にたった一行Andre Francios Cote Rotieを見つけた。その行の下には欄はなかった。評価どころか、パーカーはアンドレ・フランソワのデータすら持っていないのだ。

 世界中に、ローヌレンジャーと呼ばれる熱狂的なローヌ品種(たとえばシラーなど)の信者がうじゃうじゃしているこのご時世。

 前項冒頭で記したAOCコート・ロティ・コンテストでの優勝は、まぎれもなく偉大なるコート・ロティの気品種シラーで作られたワインの世界一を決める大舞台でもあるのだ。それなのに・・・?

パーカー先生にもお勧めする。
 ふふん、とわたしは鼻を鳴らさずにいられない。「知らないんだ、このワインのこと。パーカー先生は。へ〜、だいぶ遅れてるなぁ〜。まあ、いいけどさ(自慢げ)」

 “パーカーブレイン”の情報入手の遅れはこの際放っておいて、というか全く構うまい、いや、むしろ好都合。ですよね。ねぇ?

 上記した著書の中で、パーカー先生も述べているコートロティの評価『強烈に・・・・(中略・もう一度上をご覧下さいね)・・・・世界最上の赤ワイン』の文章そのままの、本物の最高のシラー、それを味わいたい皆さんへ。


 不要な時間と大枚を労することなく、静かなる男アンドレ・フランソワの生み出すコートロティのコルクを開けることをお勧めします。

 もちろん、パーカー先生にも。


before top