カステル グランヴァンの誕生
すべてはひらめきから始まったのです。

 エルサレム近郊のジュディンヒルの、我が家と隣り合った小さなぶどう園の斜面にまず植え付けをしました。88年のことで92年に最初のカベルネとメルローを搾りました。24ヶ月フレンチオークで寝かせ、95年の春にボトル詰めしました。あらゆる事が高度な基準で遂行され、コルクさえもが最高のものを買い付け、打たれたのでした。

 名はカステル(城郭)、クリュサンダー要塞の近くにちなんで名付けました。

 エルサレムの画家アリ・アゼネによる美しいエッチングのぶどう園と家屋、それと、よくあるイスラエル的な大胆さでもって命名した“グラン・ヴァン = 偉大なるワイン”の名がラベルに刻まれました。
 わたしがこのワインを作るためにした献身、それとジュディンヒルをオートジュディと代名できるだけの原産地特性を表し得た、ということを世に知ってもらうために。
 偉大なワインと呼ぶについて、勿論ごく親しい友人たちは賛成をしてくれた訳ですが、友は友であり、実際の信憑性に欠けるものです。
 そこで、ジャーナリストのダリア・ペン・レーネル氏のご親切により、私のワインの評価を、専門家中の専門家セレナ・サトクリフ女史(サザビーの輸出部長)に依頼してくれました。

結果はすばらしいものでした。

セレナ女史からの手紙

親愛なるダリアへ

 ベンザケン氏のケタはずれにすばらしい92年のワインを送って下さってありがとう。
 夫のデヴィッド(ペッパコーン氏 夫婦ともにマスターオブワインの称号を持つ)とテイスティングしたのだけれど、もう二人して手放しに“すごい!”の一言よ。 
他のイスラエルワインとはもう別格。私の嫌いな、よくあるイスラエルの赤ワインのあの香り、焦がしたような、やけに草っぽいようなそんなフレーバーがみじんもないもの。

 鮮やかに伝統を踏襲するこの作りは、まさに神技といえるわね。
どうか、彼に私たちからの“おめでとう!”をぜひ伝えて。一体どうやって作るのかその秘訣を知りたいわ。
 彼のぶどう園の標高は何メートルくらいかしら、彼は的を得た台木とクローンの選択をしているに違いないのだけれど。

 本当にこのワインとの出会いを私たちにくださってありがとう。

ご多幸をお祈りして。

セレナ

1995年8月15日、ロンドンにて
(ドメーヌ・デュ・カステル 公開資料より)

before top